子育ては親の育ち直し

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新年度最初の1ヶ月が過ぎようとしています。
入園したての子ども達や、保育室が変わったことで不安になる子ども達の泣き声が園内のそこかしこから聞こえていましたが、その数も少なくなってまいりました。
今まで保護者様の元で安心して生活していたのに、突然知らない場所(保育園)に置かれてしまったら、それは不安な気持ちになるでしょう。保護者様にご協力いただき、初登園から数日一緒に保育室で過ごしていただいたことで、そのショックは大分緩和され、新しい環境に馴染んでくれたようです。

昔は泣き叫ぶ子どもを保育士が抱きとめながら「お母さん、早く行って!」と引き離す光景がありました。それが当たり前だった時から考えれば隔世の感があります。

思えば、現在の子育て世代が子どもだった頃、大人は子どもに「厳しく」するものでした。大人は自分たちを「子どもの間違いを直し、正しい方向に導く存在」ととらえていたような気がします。
しかし子どもの側から見れば、自分が考えたことを頭からあるいは一部でも否定し、「そのままでいい」と受けとめてくれることはない存在、と見えました。

「いいと言われる時は条件付き」「何か必ず否定される」という体験は、条件付きの愛情表現と言えます。この体験を重ねると、自分の評価を他者(この場合は自らの親)に委ねることになり、自分が良いと考えることは価値がないととらえるようになります。いわゆる「自己肯定感」を持たない状態です。第2次ベビーブーマーであるこの世代に引きこもりが多い、という事実と無縁ではないのではないかとも言われています。

「無条件の愛情」、つまり何をしてても何があっても、私はあなたをそのままで愛している、という表現を受けた子どもは、愛着の形成がなされ、自己肯定感も自然に備わるとされています。

「自分が子どもの頃には厳しかったのに、孫には甘い顔をする親が許せない」と言う方がいます。無条件に愛してほしかった、という気持ちの裏返しでしょう。そして「自分がされて嫌だったから、我が子のやること言うことは一度全部受け入れている」という方もいます。我が子を無条件に愛することで、自分が本当に欲しかった体験をしていると言えます。

子育ては親の育ち直し、という側面もあり、その中で癒やされていくのかもしれません。