多様性

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 最近、多様性を大事にしよう、というお話をよく耳にします。生物の多様性を保護しよう、とか、多様な文化を認め合おう、というように言われることです。
 なぜ多様性が大事か? といえば、単一な性質だけで構成されているモノは最適な環境であれば大いに繁栄しますが、少しでも環境が変わってしまうと全滅してしまいます。多様性があると、環境変化に対応できる部分があり、そこから全滅を防いで生き残りの可能性を残すことができる、と考えられるためです。

 多様性という言葉は、違いを認める、とも言い換えられます。こうでなければならない、こうあるべきだ、と決めてしまうと、そこから外れるすべてのものを全部拒絶してしまいます。同じものを同時に見たとしても、三者三様の見方をされると思いますが、その違いを受け入れなければケンカしておしまい、となってしまいます。逆に違いを認め合うことをチャンスと考え、「君はそう考えるのか。それは私には無かった視点だ。我々は2つの視点を手に入れられたね」と言えたら…まったく違う未来があらわれるでしょう。

 子供という存在は、多様性のかたまりではないかと考えさせられます。大人から見れば、まったく意味が無いことや失敗することがわかりきったことを、しかもかなりこだわってやり続けます。そんなことはすぐやめてもらって、「ちゃんとしたこと」をやって欲しい、と急いでいる時などは特に思います。しかし、もうお分かりだと思いますが、このムダが多様性を作り出し、成功率を高めていく練習となっています。
 大人が先回りして、子供に無駄なことをさせないのは、失敗を許さないのと同じことです。発明王トーマス・エジソンは「わたしは、今までに、一度も失敗をしたことがない。電球が光らないという発見を、今まで二万回したのだ」という言葉を残しました。子供の「無駄な行動」は「二万回の発見」の中の1回です。一見無駄と思えることでも、成功するためには必要な失敗なのです。

 安心して失敗できる。失敗は楽しい。多様性を認めるとは、子供にそう思わせ、チャレンジを促す環境を与えることなのです。
 大人には大変忍耐がいるお話ですが。