保育者」カテゴリーアーカイブ

園長のはなし

子供は静かに溺れる

やっと梅雨が明けました。
と思ったら昨年と同じような猛暑です。昔ならば暑さしのぎにと水遊びの絶好の機会なのですが、ここまでの暑さとなると日中屋外にいるだけで熱中症となるおそれがあるため、子どもたちには屋内で過ごしてもらっています。

小学校就学前の子供は成長しているように見えて、まだまだか弱い存在です。
保育園などのプール事故を検証すると「子供は静かに溺れる」というキーワードが出てきます。
溺れているなら大声や騒ぎ声がするはずだ、と大人の時と同じように考えがちですが、子供の水難事故では大声・騒ぎ声はなく、静かに沈んでいった、という証言が多数を占めています。あまりに静かで、最初はふざけているのかと思ったが様子がおかしい、ということで救出された子供の事例などは、戦慄する思いでうかがいました。

諸説ありますが、高温や直射日光などで脳が一時的に機能を失って気絶状態になってしまい、そのまま静かに溺れてしまうのではないか、とも言われています。
今井保育園では外遊びをさせるに当たって、大人の感覚だけに頼るのではなく、熱中症指数計を利用して天候の判断をしています。大人なら耐えられるであろう温度でも、湿度によっては子供に悪影響が出る場合がありますので、客観的な指標として、この指数計は欠かせないものになっています。

安全をしっかりと守って、楽しい夏になりますよう、気をつけてまいります。

[公開日時]2019/08/01 16:00 [カテゴリー]

思い込み

園舎の建て替え工事がひとつの区切りを迎えています。基礎工事が終わり、7月からは柱を立て始め、8月には上棟を完了し、いよいよ新園舎の姿が形作られていくことになります。
まだまだしばらくはお騒がせしますが、立ち上がっていく園舎を楽しみにしていただければと思います。

昨年と比べれば多少雨が降っているとは言え、梅雨らしくない天候が続いています。
仏教の行事としては5月の花まつり(お釈迦様のお誕生日)、6月の青葉まつり(真言宗の宗祖(しゅうそ)弘法大師 空海様のお誕生日)とお祝いが続いていて、7月には東京はお盆となります。

7月なのにお盆? と感じられる方が多いかもしれません。一般的にお盆休みは8月ですし、なんで東京だけ? と疑問を持たれるでしょう。
もともとお盆は7月の行事でしたが、明治時代に入りカレンダーが現在のものに改められた際に約1ヶ月ほど日付が先に送られることになり、「7月のままにする(東京)」と「時期を合わせて8月にする(それ以外)」と2通りの選択が行われた結果が、現在の形になったようです。
7月の予定を聞かれ、いやあ7月はお盆で忙しくて、などと申しますと、なにいってんだろう? という顔をされることも多く、あまり認知はされていないようです。

お盆=8月のみという思い込みはそれほど実害がありませんが、他のことでは実害が出ることがあります。
身近なところで言えば、子供のことです。
3歳神話や、子供には判断する力がそれほどない、という思い込みは、子供の自由意志を邪魔して、判断する力や考える力を奪います。これは長い目で見るまでもなく、0〜2才の時に大人が行動を制限した場合、3才以降の積極性が著しく低くなることが知られています。勘違いによる害の大きさを感じさせる話です。

「三つ子の魂百まで」という慣用句は「幼い頃の性格は年をとっても変わらない」という意味であって、小さいうちはじっくり大人が観察しましょう、というくらいのことであったのが、いつの間にか「3歳までにいろいろ体験させなくてはならない」という意味としてとらえる方が出てきてしまいました。
この3歳神話はモーツァルトが3歳で楽器を演奏したというエピソードや、親であれば誰でも持つ「立てば歩け、歩けば走れ」という子の成長をあせり、心配する親心など、いくつもの要素が重なり合ってできあがったと考えられます。

子供の成長を心配しない親はいないと思いますが、自分の焦りを子供に解消させるようなことにはならないよう、自戒したいものです。

[公開日時]2019/06/28 16:00 [カテゴリー]

当園の保育について紹介していただきました

チームビルディングス(株)様のWebメディア「One Nursery」内で当園の保育について紹介していただきました。

[公開日時]2019/05/10 10:29 [カテゴリー]

土台作り

新年度が始まり、1ヶ月が経ちます。
新園舎は現在、基礎工事を行なっています。狭い場所でも巧みに作業を進める岩浪建設の皆さまの様子を、子ども達も興味深げに見ています。

基礎工事は細かな作業が多いようで、なかなか進んでいるように見えません。ところが、これが終わると次々と柱が立てられ、あっという間に上棟されるとのことです。
まだまだ先と思っていても、12月の新園舎完成まではすぐに時間が経ってしまうのでしょう。少しずつでも準備を進めていかなければと考えています。

今年度から保育のあり方を変更し、誕生年度別に分ける方法から、発達段階に応じて子ども自身がいる場所、行なうことを決められる方法となりました。
おかげさまで、子ども達の落ち着くまでにかかる時間は昨年度までより短期間となったようです。

子ども一人ひとりが居場所や、行うこと(または何も行なわないこと)、誰と一緒にいるかを決められることで、自律的に安定しやすい環境になっていきました。
人間という生き物は年齢によらず、自分のことを自分で決めたいと考えています。また単一年齢の子どもだけで生活するよりも上下の年齢の子達と一緒にいることで発達がうながされるとも言われていることから、今井保育園が子ども達にとって過ごしやすい場所に近づきつつあると実感します。

新園舎と同様に、子どもにとってより良い新しい保育を土台作りから始めている、と考えています。
さまざま試行錯誤でご迷惑をおかけしていますが、確実に良い環境となっておりますので、お子様の成長を通じて感じ取っていただければ幸いです。

[公開日時]2019/04/26 16:00 [カテゴリー]

子ども自身が選べる保育

日本の保育園・幼稚園では「年度別保育」を行なっているところが多くあります。今井保育園もその内に含まれます。
誕生日が4月2日〜翌年4月1日のひと続きの1年間に含まれる人を「同学年」とするもので、学校制度を元に保育にも同じ考え方が採り入れられています。小学校が年度別なんだから保育園も年度別、ということだったようです。

年度別保育では、4月1日の年齢に基づいて所属するクラスが決められます。
今井保育園には4月1日に生後57日目から入園できますので、4/2生まれの子と翌年の2月初めに生まれた子が「同年度生まれの0歳児」として4月に同じクラスに入園します。
入園の翌日1歳になる子と、まだ寝返りもうてない赤ちゃんが「同い年」として同じ部屋で同じように過ごすことになる、ということです。
現在では、これは無理があるのではないか、という議論がなされています。

このぼぼ1才の差は、当たり前ですがそのままずっと続きます。このため早生まれ(1月〜3月生まれ)の人はずっとストレス高めの環境の中で過ごすことになり、後々は健康状態にも影響するとも言われています。
無理があった、という恐れには気のせいとは言えないものがあります。

子どもの育ちは年度ごとに階段を上がるように進むものではなく、時には進み、時には戻ったりしながら曲線を描くように推移するもので、小さいうちは特に顕著で、個人によって状況も色々です。
また成長の段階を見ていただければおわかりいただけるように、1年の間に大きな変化が起こります。特に小さい子ども達にはどんなにクラスの中で環境を整えても、不自然なものになってしまうことは免れません。
そのためこれからの保育では発達段階に応じた環境を用意して、年齢よらず成長に合わせて過ごす場所や内容を子ども自身が選べるようにしていく、という取り組みが進められています。

今井保育園も新しい園舎になる前に、これらの取り組みを段階的に進めています。
子どもたちによりよい未来を用意するには、当たり前と考えていることも見直していく必要があります。
[公開日時]2018/08/31 16:00 [カテゴリー]

主体的

例年より早めの梅雨明け、それに続く猛暑、西日本では大雨による水害、例にない進路を進む台風……今年の夏は今まで体験したことがないような天気が続いています。皆様も体調を崩されていないでしょうか。

7月23日、青梅は東京都の観測史上最高気温である40.8度を記録しました。
ここまでの高温になると、昔のエアコンもなく、暑いながらもなんとか過ごせた夏ではありません。命を守るためには経験にない対応策を取る必要があります。
熱中症を防ぐには「水分を取る」「日陰で休む」のでは足りません。原因は「体内の熱が外に逃げないこと」なので、「体を冷やす」ことが必要になります。エアコンが利いた室内にずっといると、昔は「体に悪い」と言われたものですが、今は「猛暑に対抗する数少ないの方法の一つ」と言えます。
以前の常識が今では無意味、もっとひどいと害悪になっていることもある、という一つの例です。

現在では多くの幼児教育には意味がないとされています。多くの、というのは大人が子供のためを考えて与えたものの当の子ども本人は嫌がっているようなものを言います。「我慢することを覚えさせないと」と大人は考え、子どもをなだめて続けさせようとしますが、本人の意志に逆らうことをやらせ続けても絶対に身につくことはありません。
例外は、子どもが自分でやりたい、興味がある、というものです。こういったものは放っておいてもより深く探求しようとします。この状態を「主体的」といいます。今は主体的な過ごし方をすることが、子どもの活動において最も意味があることと言われています。

主体的と似た言葉で自主的という言葉があります。似ているようで、意味は少し違います。
主体的=自分の意志・判断によって行動するさま。
自主的=他人の干渉や保護を受けず、自分から進んで行動するさま。
(大辞林より抜粋)

主体的にあり、自主的にない意味として「自分の意志」があります。

子どもはいつか大人になり、自分の判断をしなくてはならなくなります。その際「自分の意志」が大きな役割を果たします。自分がやりたい、確かめたい、追求したいと思ったことをとことんまでやり続ける経験が、おとなになった時、心の財産となります。

[公開日時]2018/07/31 16:00 [カテゴリー]

「安心」と「自分への信頼」

ご入園・ご進級、おめでとうございます。

初めての場所で不安な気持ちを持っているお子様、それを同じようにハラハラして見守る保護者様、その両方に一日も早く、安心感と信頼感をお持ちいただけるよう、職員一同しっかり保育してまいります。

平成30年度がはじまりました。「平成」という元号が用いられる最後の年度です。時代が代わる、そんな予感を持つのは少し感傷的でしょうか。

保育も変化していきます。

今年度より、保育園の運営方針を定めた『保育所保育指針』が10年ぶりに改定されました。この10年における研究と実践の成果が盛り込まれ、「よい保育」の定義が大人の都合に合わせたものから、「子どもにとっての良い環境づくり」に変化していることが理解できる内容になっています。

10年前には最新知識であった情報も、今となっては誤りが見つかり、新発見に道を譲ることになります。保育についても同様で、昔正しいとされていたことが今では否定されていることもしばしばあります。

一例をあげると、昔は「おむつは早めにはずしたほうがいい。トイレの習慣を身に着けさせるためトイレトレーニングで練習させる」とされていましたが、今では「おむつは子どもの発達を見ながら、本人の意思を確認しつつ外す。トイレトレーニングはトイレを使うことになれるためのもので、強制しない」とされています。

このギャップは子育て世代と祖父母世代の子育て観の違いとなって現れています。これを埋めようと「祖父母手帳」が各地の自治体から発行されています。有名なところでは、全国でも先駆けて公開されたさいたま市の祖父母手帳があります。

『さいたま市祖父母手帳』http://www.city.saitama.jp/007/002/012/p044368_d/fil/sofubotechou.pdf

私たちは自分が育てられたように子育てしようとしますが、実はそうやって受け継いだ「親世代の子育て」には納得していないこともしばしばあります。しかし、いずれ自分が大人になればわかるだろう、と矛盾を受け入れようとしますが、実際はやっぱり納得できていないことが多くあります。

子供の頃に行なった「いたずら」は「自分が確かめたいことの実験」だったはずです。大人の「邪魔」となる行いは「お手伝い」だったはずです。否定された「嫌いな食べ物を食べない」「お昼寝をしたくない」などの気持ちも、子ども自身が考えた結果だったはずです。

これらの「自分の気持ち」を受け入れられることで、「自分を受け入れてもらえる」自己肯定感が育っていきます。自己肯定感がなければ、その後に続く「何かを達成しようとする気持ち」自己実現観は育ちようがありません。

子どもに最初から備わっている能力を伸ばす。その為には大人が子どもを引っ張るのではなく、子ども自ら育とうとしている様子を見守る必要があります。子どもにとって見守られることは「安心」と「自分への信頼」を確信させるものです。
自ら考え、壁にぶつかり、それを乗り越え、目的を達成できるようにするため、私たち大人は安易に手助けをせず、ハラハラしながら子ども達を見守っていなくてはなりません。失敗して落ち込む子どもを受けとめて、次の挑戦に向かう勇気が湧いてくるまで一緒に待つ、それが大人ができる唯一のことなのではないかと考えています。その大人の態度が「安心」と「自分への信頼」を裏付けます。

「子育ちを守る」を当園の保育目標に据えてから今年で5年目です。

今年もこの大きな目的から目をそらさないように心がけてまいります。
[公開日時]2018/04/02 16:00 [カテゴリー]

幼くても

昨年度から何度も予定変更を繰り返しておりました『「菌ちゃん野菜」の土作り』は5/16(火)に無事スタートすることができました。
約1ヶ月ほどで野菜くずは土になり、今年も園庭での野菜づくりができるようになります。実りだけではなく育つ様子も園児たちとともに楽しめればと考えています。
6/8(木)には午前11時から子供向け、午後1時からは大人向けに、「菌ちゃん野菜」の提唱者である吉田俊道先生(NPO法人大地といのちの会 代表理事)の講演があります。保護者の皆様だけではなく、どなたでも参加いただけますので、ぜひお出でください。

5月20・21日と、日本保育学会に参加してまいりました。学会では日本全国の保育研究者・実践者の方が研究発表をされており、その場にいるだけでも大変勉強になりました。
そして今回初めて私自身も、NHK Eテレ『すくすく子育て』でお馴染みの井桁容子先生(東京家政大学ナースリールーム主任保育士)にお誘いいただき、乳児保育をテーマにシンポジウムを開催しました。
私からは今井保育園のことをお話したのですが、会場からのご質問をうかがうと、当園では当たり前になっている保育や考え方が驚きをもって受け止められたようでした。
今井保育園では乳児保育を中心に据え、0才からの成長の上にその後の成長が重なっていくと考えています。しかし質問者の多くの方は、保育は年長さんが中心であり、それより幼い子達は「あるべき年長さんの姿」を「目標」として目指すように保育される、という考え方を持たれているようでした。

「目標」は大人が用意したものであり、なぜその「目標」なのか、目指さなければならないのかということは子供の内側から湧いてきたものではありません。
自分以外の人に与えられた目標を達成するより、どうしたいのかを考え、伝え、実行する力が自分にはあることを子供たちに実感してもらうほうが、未来に渡って彼ら自身の財産になると考えられます。

「子供のいうこと」と考えず、「幼くても懸命に考え、伝えようとしていること」と考えて、子供の言葉に耳を傾けたいと思います。

園長 橋本貴志

[公開日時]2017/05/31 16:00 [カテゴリー]

春の風物詩?

新年度が始まり、早くも4月も終わろうとしています。
新しいお部屋に最初は戸惑っていた子供たちも、今の環境に馴染んできたようです。

新しい環境というものはまだ幼い子供には不安の材料となります。
今井保育園では保育士の関わり方だけではなく、前年度の担任の持ち上がりや、前任者からの申し送り、成長・発達に合わせた保育室の環境整備などで、なるべく子供たちの不安の材料を少なくすべく検討しています。

しかしそうであっても完全に安心できるわけでもなく、4月は各お部屋から泣き声が聞こえてきます。
保育園の春の風物詩、と言われることもある子どもたちの泣き声ですが、いつしか泣くことがなくなります。ああやっと泣き止んでくれた、とほっとする一方、なぜ泣くのをやめてくれたのか、と考えることがあります。

1.新しい環境に慣れた
2.泣くよりも楽しいことが見つかった
3.あきらめた

多くは1・2なのですが、どうも3なのではないか、という心配がある場合もあります。
このお子さんの心の中を察すると、「何ここ? 誰あなた? 怖い! 泣いて不安だと伝えよう!」→「泣いてもママ/パパが来てくれない! 聞こえないのかな? もっと泣こう!」→「全然来ない…泣いても意味が無いのかな…」と諦め、そうしてしばらくたってから「…保育園も楽しいかな」と感じてくれた、ということかもしれません。

泣いているお子さんは、不安を訴えている、「傷ついている」状態と言えます。その上「あきらめてしまった」子は、大怪我を負ってしまった状態と言えます。
病気にかかったとき、病状が進行してからの治療と、かかり始めでの治療では治る時間が大きく違うだけでなく、その後の健康状態にも大きな違いが生まれます。
同じように「あきらめた」子供に保育園が楽しく生活する場所だ、と信じてもらえるようになるには、大変な労力をかけなければならない、と言えるでしょう。

そこで今年度より保護者様のご協力を得て、不安の強いお子さんと一緒に保育室で過ごしていただく取り組みを実施しました。いつもは泣いていたお子さんもママが近くにいてくれる安心感から遊びに関心が移り、時には笑顔が出るなどリラックスした様子で過ごすことができました。不安だけだった保育室が楽しいこともある場所と認識してもらえたようで、その後は少しずつ落ち着いた様子を見せてくれています。
1回だけで大きな効果がある場合もあれば、何度も一緒に過ごして頂く必要がある場合もあるでしょう。しかし不安を訴えているお子さんに早く諦めてもらうのではなく、早く安心してもらうことで、傷つく時間が短くなり、安心して保育園に通ってもらえるようになります。

また「つられ泣き」と言って、泣いている子がいると一緒に泣いてしまうお子さんの気持ちも無視できません。今までの認識では「泣いている子がいるから一緒に泣いてしまう」と考えられていましたが、「泣いている子がいるよ? 悲しそうだよ? なんとかしてあげて」と大人に伝えたくて泣いていたのではないか、とも想像いたします。

子供たちの優しい気持ちを、ひとつでも拾い上げていけるようにしたいと存じます。

[公開日時]2017/04/28 16:00 [カテゴリー]

保育について語り合う

平成28年が暮れようとしています。
区切りとなるタイミングで一年を振り返りますと、今年も色々なことがあったなぁ、と感慨もひとしおです。
年末の慌ただしいときこそ余裕を持っていなければならないのですが、やはり気が急いてしまいます。

そんな折、このコラムにもよく登場する東京家政大学ナースリールームの井桁容子先生にお誘いいただき、23区のある保育園の園長先生とともに、保育について語り合う会に参加いたしました。
大ベテランの先生方にまじっているだけで大変勉強になったのですが、その際に話題となったのは「年長児中心の保育」です。

昔ながらの保育と言いますと年長児が基準となって、年中児より下のお子さんはその準備期間と考えられてきました。これを「年長児中心の保育」と言っています。
この「基準」というものがくせ者で、実際には「年長さんにはこうあって欲しい」という大人側の願望をあてはめているのではないか、ということが語られていました。

考えてみれば人間の成長は生れた瞬間から始まっていて、その積み重ねが年長児となった時の様子になるわけなので、逆算して計画を組み立てたところで実際にその通りになるよう成長させていくというのは無理があります。
それよりも、子供の様子をじっくりと観察し、何に興味があるか、何を求めているのかを知ろうとすることを積み重ね、肯定的にとらえていくことで、その先にある成長の様子を思い描いていくほうが、より真実に近づけるのではないかと考えられます。

保育園では「去年の◯◯組さんではこうだった」と前年の様子を参考にすることがあります。しかし、「去年の◯◯組」と「今年の◯◯組」はまったく別の子供達なので、経過も結果もすべて異なるものになるのは当たり前のことです。
もしこれが「去年の◯◯組さんはこれくらいできたんだから、今年もできて当然」と期待するなら、後になればなるほど練習や準備が増え、子供達にとって苦しいものになってしまいます。

いま目の前にいる子供達をよく観察し、いま私たちができることを考える。
来年もこの姿勢を貫いて、子供達に寄り添っていきたいと思います。

[公開日時]2016/12/28 17:45 [カテゴリー]