甘やかしと愛情

この記事は約2分で読めます。

 子どもは甘やかしてはいけない、と厳しくしつけようとする反面、そんなに厳しくしなくてもいいのかも…と心が揺れる経験をされることはよくあるでしょう。どちらが正解、ということはないのですが、次のような話を耳にしました。

 「甘やかし」と「愛情」の違いがわかりますか? 「甘やかし」とは、そのままの子どもを受け入れず、行動を指示するなど、親の都合がいい結果を手に入れるための関わり方です。では「愛情」とは何かと言えば、子どもに進む方向を指示しない、子どもに任せて見守る姿勢を取る関わり方です。(医師・臨床心理士 田中茂樹さんの講演より)

 野菜を食べない子どもに「野菜を食べたら強い体になるよ!」といって促すのは、野菜を食べてくれれば親である自分が安心するから、という理由はないでしょうか。失敗して子どもが傷つくのがかわいそうだから…と言って手伝ってしまう、というのも、本当のところ、子どもが傷つくところを見たくないから、という親の都合なのではないでしょうか。
 野菜を食べられないのであれば、食べられるようになるまで見守る。たくさん食べなくても、ほんの針の先ほどの量でも子供の意志で食べられたら良しとする。失敗してもいいから、子どもがチャレンジしたいと思い続ける限り何度でも失敗させる。子どもが満足すれば、それで良しとする。

 知らないまま、できないままで「いさせてあげる」ことも、子どもからすれば「余計な口出しをされない」という好ましい状況を作り出します。その上で何度失敗してもいいんだよ、と見守っていれば、子どもは「やればできるんだ」という感覚(自己実現感)を得ることができるようになります。そして何より、親は自分を信頼してくれているんだ、という感覚(自己肯定感)を育てることになります。

 でもそれでは自分勝手な子どもに育つのでは? という疑問が起きるのではないでしょうか。その心配はあたらない、と先述の田中茂樹さんは言われます。自己肯定感を持ち、また自己実現感を持つ子どもが自分勝手な行動を取って困らせるような行動をとるか、想像できますでしょうか。
 私たち大人に最も必要なことは、子どもを信頼すること、なのでしょう。